「…といっても、今すぐじゃないから。私も少し頭の中整理したいし。」
苦笑しながら言った。
「じゃあ放課後、校門な。」
「うん。」
その後、それぞれ教室へ戻った。
…もちろん、今は授業中。
乃栄が教室へ入った途端に先生に怒鳴りつけられた。
生徒の目は乃栄へ向けられ、「よくもまぁ帰ってこれたもんだ」と言いたげな顔をしていた。
「………はぁ。」
とても小さなため息をつく乃栄。
けして太ってはいない、けど見事にハゲた頭の数学教師の説教は軽く流し、
自分の席についた。
「なんで今頃出てきたのよ。」
視線は黒板へ向けたまま、周りに聞こえないくらいの小声で
自分の中にいる妬揮に話しかけた。
『俺だってわかんない。気がついたら、ああ、目覚めてしまったんだなって。』
「…そう。」
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