「まぁ待て朔哉とやら。」

「は?」


「説明は乃栄がするから。」


「はぁ!?」


「じゃ。」



それだけ言うと、

目を閉じて下を向き、一瞬空気が揺れたその瞬間、パッと顔を上げた。



「あーやっと引っ込んだ。妬揮は面倒くさがりだから全部私に押し付けてっ!……」


「…の…乃栄…か…?」



妬揮に対しての文句を言っていた乃栄が、やっと我に返った。



「ああぁあぁ!!!!取り乱してごめん。」

「いや…別に…。」



初めて見る乃栄の一面に多少驚いた。



「…知りたいんでしょう?」

「…正直な。」



「貴唯ちゃんにも、言わなきゃだめよね…。貴唯ちゃんのアパート行こ。」


「わかった。」







─こんな日が来ることを

私は予想していた─






けして消えない過去が蘇り、

悲しく微笑む乃栄だった…。





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