急に黙りだした乃栄を見て、固まった朔哉。


さっきの言葉を発したのは、まさしく乃栄。
でも、喋り方や雰囲気が何か違う。




───何なのだろう、空気が一瞬で鋭くなったような、この変な圧迫感。───




すると乃栄は自分の腕を掴んでいる朔哉の手を払いのけた。





「俺の腕に気安く触んな。」


「は?」



「んーっ!久しぶりだなぁーこの感覚。へへっ。」



朔哉に背を向け気持ちよさそうに腕を天に伸ばす。



「…乃栄…?」


恐る恐る問いかけた。

その声に反応し、腕を下ろした。



「乃栄?…違う。俺の名は…。」



振り向いた時に揺れた長い髪は優しく、太陽の光が当たって綺麗だった。

だが、

その顔は乃栄のようで乃栄でない、

ふと感じられるのはいかにも、男らしさの詰まった笑い。










「俺の名は……妬揮だ。」









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