カチ、カチ、カチ、…



部屋には、貴唯がペンを走らせている音や、乃栄がカッターを使ってる音しか響いていない。

途切れることなく時計の秒針が進んでいき、あっという間に2時間経った。




「あー!原稿やっと全部終わったぁ!!」

「お疲れぇ。」

「お昼にしよっか!」


そういえば…と自分のお腹が鳴っていたことに気づき、苦笑した。


「うん。」


数分後、貴唯の作ったオムライスを食べながら、ぼーっとしていた乃栄は夢のことを思い出した。


「…ねぇ、貴唯ちゃん。」

「なにぃ?パクッ」

「夢を見たの。」

「へぇー。モグモグ」

「でね、」

「うん。モグモグ」


「……に会った。」


カシャーン…

貴唯が乃栄の言った名前を聞いて、スプーンを落とした。



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