アイオンとユーリア

老人の声には異様な説得力があり、老人
の目をじっと見つめていたアイオンの
頭は、急にぼうっとしてきました。

思い出す、とは何のことか分かりません
が、少年はつい、近づいてきた老人の
手から剣を受け取ってしまいます。

アイオンが赤い鞘から剣を抜くと、意外
に軽くて扱いやすいその剣の、陽光に
照り輝く銀色の刀身は、自分に非常な力
と自信を与えてくれるように、アイオン
には感じられました。

そのとき、アイオンは思い出しました!
自分は本来凄まじい武力の持ち主であり、
かつては剣術の神のように、周囲から
称えられていたことを。

しかしそれはいつのことか? 少年の
14年の間のこととは思えません。