アイオンとユーリア

謎の老人は、身長23スリン(約150
センチ)のアイオンよりはるかに背が
高く、何となく油断ならない印象を
与えます。

アイオンは、その緑色の上衣から出た
右手を、腰の短刀の柄にかけます。
あの「イノシシ」相手には武器に数え
なかったこの短刀ですが、人間相手なら
役に立ってくれるはずです。

逃げるべきかどうすべきか、判断がつか
ないアイオンですが、老人は少年に静か
に語りかけました。

「アイオン。そなたがそんなことでどう
 なるのだ。

 この剣を取れ。何も思い出さない
 のか?」