一人で緊張してると僕の肩をポンッて叩かれた。


後ろを振り向くと優弥だった。


「マキちゃんそんなに緊張しなくてもマキちゃんなら大丈夫だよ」


「そうだよ! マキちゃんは優弥君の女装よりか可愛いもん」


優弥の後ろから真美が顔を出しながら言う。



なんかそれだけで泣きそうだ。


流れそうになった涙をグッと堪える。


『次はエントリーナンバー9 木曽 雅季(キソ マサキ)君です』


次は僕の番だ。


名前を矢田にしとくとばれると思ったから偽名を使った。


「ほら。マキちゃん、頑張れ!」


優弥の言葉を胸に僕は舞台袖を後にした。