静かな公園で俺は盛大なため息をつく。
これじゃあどっちが年上かわかんねえよ。
俺はそう内心で呆れながら、またベンチに座った。
「ナツ、いま彼氏の家で襲われそうになったのにまだわかってねえの?」
「えっ?」
ナツの顔を見る。
うん。これは本当にわかってねえな。
「俺だって男だよ? それとも俺が中学生だからって安心してんの?」
気まずそうに下を向くナツ。
俺はそんなナツをじっと見つめる。
切れかけの電灯がチカチカしているのがうるさく感じた。
「……拓はそんなことしないもん」
しばらく黙り込んだあと、今にも消えそうな弱々しい声でナツはそう言った。


