「わかった。すぐ行くから、絶対に動くなよ?」
「うん。迷惑かけてごめんね」
「気にすんな。幼なじみなんだから。とにかくそこでじっとしてろよ!」
ナツのしょんぼりした声にそう言って、俺は電話を切り部屋着のまま家を飛び出した。
夏とはいえ夜は少し肌寒い。
だけど全力で走った俺にはちょうどいい涼しさだった。
夜風で汗ばむ体を冷ましながら、公園の中を見回す。
ブランコ、滑り台、砂場、ベンチに申し訳程度にある街灯。
本当にシンプルな公園だ。
ナツはそんな公園の中のベンチに小さくなって座っていた。
「ナツ!!」
公園中に響いた俺の声にナツは肩を揺らすと、ゆっくりと視線を俺に向けた。