一瞬、出るか出ないか迷ったがとりあえずゲームを一時中断する。
携帯の画面を見ると着信はナツからだった。
こんな時間に珍しいな、なんてことを考えながら通話ボタンを押して携帯を耳にあてると。
「もしもし……拓(タク)?」
小さな泣きそうな声が聞こえてきた。
「どうした?」
「……あのね、いま公園にいるんだけど迎えに来てくれないかな?」
公園というのは昔、俺とナツがよく一緒に遊んだ公園のことだろう。
泣きそうな声の原因が気になったけどそれを聞いて、原因を聞き出すのは後回しにした。
あそこはたまに変質者が出る。
ナツ一人であんな場所にいるなんて襲って下さいと言っているようなもんだ。