小絵は、自分であきれていた。
結城はそんなことを聞いた訳ではないのに…
シャ-シャ-と、うんちく演説をやってしまった…
そのへんで、止めておけばいいものを…
まだ続くのだが、こういうことらしい…
つまり、石の産地などについて…
その石の産地は、アフガニスタンのバダクシャン地方が、有名だが…
他にシベリアのバイカル湖南岸やバミ-ル高原、
ブ-タンからも産出し、 石の化学成分は主に-
塩酸性 炭酸銅 である。
それに、ラピスラズリの 意味は…
ヴァイズリア 音訳
「 吠 瑠 璃 」 の
省略形 である。
日本においては、正倉院に顔料として、
袋に入れていたという墨書きをされた、白い袋が 残されている。
玉として使用したのは…
宇田法皇の持ち物として、
数珠の材料に使用した、 金青玉の貴石が残っている。
など … など … など…
これらは、日本の図書館で 調べていたことだが、
そんな文献にもあるように、貴重な石だから…
そう、
簡単には手に入らない。
しかし、このガイド料が入ったとしたら別なのだが-
小絵はラピスラズリの石が手に入ったら、
その石を金細工で飾りたいと考えている。
葡萄の小さな房を、小粒のラピスラズリで造り、
葡萄の葉は金で造る。
そして、金細工のメッシュを腕輪の形に造り…
そのメッシュに、葡萄や葉を張り付ける。
想像しただけで、嬉しくなる…
しかし、小絵の手元には …まだラピスラズリの石は、
届いていないというのに、 デザインだけが浮かび…
小絵は結城のことは、いつの間にか、すっかり忘れてしまっていた。


