13世紀の初め…
ここイタリアに、一人の聖人が生まれた。


この国の守護聖人と敬慕された聖フランチェスコ…

各地を転々と放浪しながら、清貧の身の上での信仰を説いたと言われている。



その聖フランチェスコを奉る大聖堂は…


このスバ-ジオ山麓の丘の上に、隠れるようにして、

建設された古都アッシジに在った。


そこは、不思議な力を感じることができる土地だ。


車から降りた二人は…
下手広場のア-ケ-ドからその大聖堂を見上げていた。

聖堂までの階段は、いったい何段あるのだろう…


目の前には、見当もつかない位の階段が続いていた。


-結城様♪
ゆっくり上がって行きましょう。


この階段を踏み締めながら、聖堂へ一歩一歩…
近付いてゆきましょう。


そうすれば、段々と心が洗われて…


敬虔な気持になれるような気がします -



「僕もそうしたいと思いました。

やはり、そうすべきだとね。この土地は特別だから…

何だか神秘的で感動しました。僕のような者でも…


段々癒されていくように 、感じています。


-そんな言いかたをなさらないで…


結城様はとても良い方ですわ♪


私は、とても幸運です -


「とんでもない、
僕は、いい加減な男なんですよ! 」



そう言いながら、目をさけていた。