アッシジへは、このフィレンツェからは車で、
2時間はかかる予定-


小絵と結城が、車の後部座席に乗り込むと、


「ブォンジョルノ♪ 」


とびきりの明るい声がして、手を振った。


気の良さそうな、運転手の男だ…


車が走り出してから、 ものの10分もたたないうちに、

小絵は眠気を覚えてしまっていた。


『昨夜は眠れなかったからだわ!
結城様にアッシジへ着くまでの、

途中の景色の説明を、 してあげないと…


結城様は、どこを走っているのか、わからないのよ。 困ったわ!


何とか目を覚さないと、 ほんとうに、もう駄目…
眠いわ~ 』


小絵は結城に説明もしないで、眠りこけてしまった。

車の振動が、ちょうどいい具合の子守歌のように…


トロリと眠ってしまった。