小絵の部屋はシングルだ。 しかし、自分が借りているフィレンツェの下宿の部屋に比べたら… はるかに広いその部屋は、 バラの花柄の絨毯が敷かれている。 その花柄のロ-ズピンクの色に合わせてベッドの色も同じだ。 そのベッドに仰向けになり目を閉じていた小絵に- 大きく開かれていた窓から涼しげな風が、 そうっと- 吹き上げられてきて、小絵の身体を撫でていく- あまりの心地よさに、頬が緩み、フィレンツェの町にいることを、 忘れるくらいの安らぎに、いつの間にか眠りについていた。