もし、あの男が結城様だとしたら、妻はトイレにでも行ったのかもしれない。


それなら、納得できる…
小絵は手をあげて、頭を下げた。


その男も頭を下げていた。 そして、小絵に近付いて来ようとしていた。



本当に妻がいたら、待つはずだ。


二人そろって、現れるはずなのに、何故一人だけなの!

『どうして、奥様はいない の! 何か急なことでも 起きたのかしら… 』


小絵には、さっぱり理解できなかった。


向こうから、小絵の旗を、目指して近づいて来たらしく…


小絵の目前にきた時には、ほっとしたような顔をしていたが…


この男は、以外にも品のいい紳士だった。


スラリとした、長身の男性、髪は少し白髪が混ざっていたが、


顔立ちは男らしく、育ちの良さを思わせていた。