その日、日が暮れると早苗は屋上にいた…
東の空には明星が赤く輝いていた…一番星である。
でも、夫の言ったのは天の川銀河の星だ…
見つけようとしたら、早苗の頭上には…天の川が広がっている。
銀河星群だ…その中にひときわ明るく瞬く、ルビー色の星が見えている…
夫の言ったとおりだ。
早苗の目に、ルビー色の星の光りが飛び込んで来た。
夫がきてくれたのでしょうか…懐かしい夫の笑顔が早苗の目に重なりました。
『ルビー色の光りは夫だわ…あの人は、やはり星になって空から見ている…』
早苗は屋上から、大声を出して、空にいる夫を呼びたいと…思った。
しかし、そんなことをしたからといって…夫に会えるはずもなく、
かと言って…
何もしないではいられない…
こんな時には、どうしたらいいのだろうと…思い出したのは………
いつかの夫の言った言葉…
-早苗〃
私に会いたくなったら…
天の川の銀河の先にある、 一番明るく輝いているのが私だからね。
その星に語りかけてごらん〃私は早苗のそばにいる…
早苗が小声で、つぶやいただけで、そばにいる-
『夫がきてくれるでしょうか…ほんとうに、
どんな小声で、つぶやいたとしても…』
その瞬間には…天空の星の一つが異様なくらいの光りを放っていた。
ルビー色の光りである…
透き通るような宝石をおもわせている。
その星が早苗を見つけたのだ…瞬くルビー色の星。
早苗のつぶやいた声が…
もう夫に届いていた。
でも、早苗はまだ知らない。


