早苗の心臓は病んでいるのだ。冗談ではなく…
圭介を死ぬほど心配した結果だが、用心しなければならない。
その朝子が、こう言ったのだ。
-あのね、おばあちゃん〃 お父さんにはね…
愛人がいるの、子供もいるわ〃私は知ってるの〃-
早苗は迷ったが、この場合は初めて知ったことにした。悪いがそうした…
「ええっっ〃
朝子ちゃん、何を言ってるの………
そんな、馬鹿なことあるわけないでしょ〃
間違いだよ〃」
-おばあちゃん、ほんとうのことなのよ…
私ね、写真を見たことがあるのよ〃 -
『やっぱり…心配したとおりだよ。
どうこたえてやれば、
いいのだろう…』
-朝子が去年の夏休みに…おばあちゃんの家に行ったでしょ〃
その時に知ったのよ。
お父さんの部屋を覗いたら、とても散らかっていたから… 片付けようと、
机の上を片付けていたら、置いていた本が落ちたの…
そしたらね、本の間に挟まれていた写真が見えたの…
朝子…黙って見てしまったのよ…秘密の写真よ。
お父さんに見つかると、具合が悪いでしょ…だから、 そうっと、もとへ戻しておいたわ…-
早苗は以外に冷静だった。
朝子が、ずいぶん前から知っていたからだ。
それなら、朝子の傷も少しは癒えているだろう…と。


