こうして、母と食卓を囲むのは…


何年ぶりだろう。
懐かしい思い出が、圭介の 脳裏をよぎる。


圭介は母親の嬉しそうに、している姿を、

目の当たりにして…

『母さん!必ずここへ 帰ってくるからね 』


自分の胸に刻んだ。


その日、母にはしばらく、 イタリアへ旅行することを告げ-


帰国したら、この家に戻ってくることを約束した。


その日から、一週間ほどで自宅に戻ったのだが-


妻の啓子は家にいなかった。

明日には、イタリア旅行へ出発するという-


前夜になっても、
妻は帰って来なかった。


そのことは、どういうことを意味するのか………


とうとう、妻は自分から 圭介と結ばれていた-


縁の糸を切ってしまったのだ。


それでも、圭介は一応は 妻への手紙を書き、
テ-ブルの上に置いた。