圭介は、胸に十字架を切りそして、祈りの言葉を三回唱えていた。
その祈りの言葉が終わった瞬間には、白馬のエタロンは跡形も無く消え去っていたのである。
その代わりに…いつもの鳩が、船の帆先にちょこんと止まっていた。
「小絵の指輪の鳩さん〃
これからは君が頼りだ…
よろしく頼むね」
-はい、わかりました。
女神のお言いつけですから、私にお任せ下さい-
『これから海路を行くわけだから、頼りになるのは鳩だけなのだ。
航路の海図もなければ、磁石もないのだからね。
ほんとうに…この先には、地球への突破口があるのだろうか』
圭介の胸の中は、不安でいっぱいだ。
それは、この海がこの世のものでは無いのが、わかっていたからだ。
その…この世のもので無い海は… 静まり返っている。
果てしなく続く海原は青い世界だ。
その海に浮かぶ船は、たったの一艘だけ…圭介が乗る船だ。
まわりを見渡しても、小船の一隻さえも目に飛び込んで来ない。
あたりは、ただ静かな海が青い波を抱いているだけだった。
そして、よく見ると彼方には、地平線が無くて、
ただ平たく青い海原が続く…


