その白馬は、青草に埋まるようにして眠っている圭介に、そっと近付いていた。
-旦那様、起きて下さい〃エタロンが、又まいりやしたでやす-
その白馬は、圭介の顔をペロリッと…ひと舐めした。
そのうち、鳩も旋回をやめて、圭介の頭の横に羽根を休めていた。
顔を生臭い匂いのする…白馬の舌で舐められた圭介は、驚いて目を覚ましたのだが…
自分のまわりに、白馬がいて、その上鳩までもが揃っていたから、又驚いた…
「わあっ、またお前なの。
どうして、ここにいるんだ。それに大事な仕事を…ほおって置いていいのかい」
圭介にとっては、かっての愛馬である、シ-の軍馬だったエタロンが来ている。
鳩は、たしか…
圭介と約束していたから、来てくれたのはいいとして、
白馬のほうは、圭介を乗せて逆戻りでもされたら、大変だと心配になっていた。
-ご心配なく、旦那様。
向こうに見えておりやす、
海の上に浮かぶ船に、お乗り下さい。
この私が、あの船までお連れいたしやすから-
「圭介、心配しなくても大丈夫よ〃
この馬は、女神さまの命令を受けて、来ているのよ。
あの船に乗って、島へ帰るのです。あなたの愛する者たちが待つ島へね。
私は鳩だから、圭介をあの船に乗せる力は無いのよ。
だから、女神さまは命令を下したの。
潮の時刻を決めるお仕事はね。少しの間弟子に任せてね…」
だから、安心してエタロンの背にお乗りなさい。
船は、すぐ近くに浮かんでいるでしょう…ほら〃
だから、エタロンにとっては、ひとっ飛びでしょうよ〃」
鳩は、圭介を何が何でも船に乗せたいとそう言った。


