しばらく歩くと、山の麓に小さな教会が見えている。
その教会に続く細い小道がのびていた。
その小道を老婆と歩こうとしたのだが、
老婆は、足が痛いのか片足を引きずりながら歩こうとしていた。
圭介は、そんな姿の老婆をみかねて、抱き抱えて歩き出していた。
しかし、その胸中は、とんでもないことになった…
という思いで膨らんでいる。
やっと、教会にたどり着いた…二人。
二人が教会の入口の扉の前に立つと、勝手に扉が開いた。
教会の祭壇に向かって、赤い絨毯が敷かれている。
そして、祭壇の前には司祭が待っていて、手招きしていた。
その司祭の手招きに釣られるようにして、圭介は歩き出していた。
もちろん、老婆を抱いてである。 何故こんなことになったのだ。
そんな思いがいっぱいになっていたのに…やはり魔法にかかっていた。
しかたがないから圭介は、 老婆と司祭の前に立っていた。
すると、今度は司祭が圭介に、老婆の指に指輪をはめるようにと言った。
素晴らしい金の指輪だ。
いくらなんでも…無茶だ。 指輪が素晴らしくても、それは別…
『これって〃結婚式だよな。そんなの無茶だよ、勘弁してくれ』
そんな思いは、遠くの方へ追いやられ、思いのままにされていた。
司祭に言われるままに、
その金の指輪を圭介は受け取ると…
老婆の皺くちゃの手を取り、指に指輪をはめていた。


