しかし、目の前に誰かがいるような気がして、
無理矢理、目を開けたら…
その目に見えたのは、
とても醜い老婆だ。
手足は枯れ木のように曲がっている。
その上、顔には年寄りじみたシミがあり、皺くちゃの老婆だ。
ところが、その老婆が圭介に顔を近付けこう言った。
-頼もしいお姿の騎士様、この私と結婚していただけないでしょうか-
圭介は騎士の姿になっているらしいが、自分には見えない。
「ええ~っ〃
なんだって、この僕と結婚したい。
そんなぁ…そんな馬鹿なことを言っちゃ駄目ですよ〃 ねぇっ、お婆さん〃」
それだけ言うと、逃げようとしたのだが、
どうにも身体が動かない。
まるで、魔法にかかったみたいに、釘付けになっている。
しかし、何故か老婆の声だけは、若くて可愛い声なので、その姿は魔物のようにも思えた。
さて、圭介はどうしたものかと、思案したのだが…
頭で考えても、身体が微だにも動かないのだ。
『しかたがない、ここは…この老婆の言うようにするしかないか〃 』
そう思ったら、とたんに圭介の身体は軽くなり動いた。
結局、しぶしぶだが老婆に従って歩き出していた。


