圭介の脳裏には、はっきりと刻まれていた。
自分でも驚いてしまったが、遥か遠い昔のことだ。
-思い出していただけましたか、大変嬉しく思います。
あの時から、ず-と私は… ブルタ-ニュの、
あの海辺におりました。
旦那様が、この世というところに…出向いて行かれた後も、ず-とでやす-
白馬は、スピードを少しも緩めることなく、走り続けている。
平然とした表情…いや、
馬面とでも言ったほうが、 ふさわしい、その白馬は、どこかを目指して駆けていた。
「そんなところに…ずっといたなんて〃
いったい、何をしていたのだ…
あのブルタ-ニュの海辺は、波が激しく怒濤が押し寄せるところだった」
-私は、その海辺にいて、 潮の満ち引きを決めておりました。
ゼウス大神さまが、そうするように仰せられたもので〃
ほんとうは、この私も旦那様といっしょに、
この世という、世界に生きたいと願いましたが、
神は、お許しにならなかった。
だから、しかたなく潮の時刻以外には、海辺をゆっくりと…ギャロップしておりましたが、
潮の時刻になると、後ろ足で蹴ったり、早足で歩いてたりして決めておりやしたです。


