遠くに見える山々の前には、折り重なるようにして…
少し低い山が続いている。
そして、その低い山の裾野に広がる緑のじゅうたん、放牧のための草原なのか…
濃い緑色に、薄い草色が絵の具を塗り重ねたように見えている。
その緑色の中を区切るようにして、細い巡礼路が続いているのだ。
その道を歩く人影が見えていた。
『聖ヤコブ様、お許しください。
再び、この地を訪れるのは、
私がこの世の寿命を、
まっとうできた時だと思います。
その時には、必ず大聖堂に眠っておられる、
聖ヤコブ様をお訪ね致しますから…
今は、このまま失礼することを、どうかお許し下さい』
それを言うと、白馬は言葉がわかるのか、前足を上げて、いなないていた。


