-圭介、
巡礼者の誰もが、歓喜に満ちあふれてね、身を震わすのだよ。
つまり、感きわまる心地がするのだという…
だから、歓喜の丘と名付けられたのだ。
圭介には、よく理解できないだろうが、
中世の時代から…そう言われてきたのだよー
圭介は、淡々とした表情で語る父親の言葉に、驚きを隠せない。
自分にしたら、初めて目に、耳にとすることばかりだ。
それに、父親が巡礼者の姿になっていたなんて、
青天の霹靂だ。
-圭介を驚かせてばかりで、申し訳ないがほんとうのことなのだよ。
私はね、はるか昔…
中世の時代には、ギリシアの神様を信じていた。
そして、聖ヤコブ様という聖人に、お仕えしていたのだ。
しかしね、
私はかっては日本人として生きていたのにと…
初めのうちは、信じなかったよ。
でも、自分が死んで…
よく言われている、あの世とやらについたのだが、
しばらくしたら、突然…
白い馬に跨がった騎士が現れたのだ。
彼は聖戦の騎士だと言ったのだが、
その時の私は、とてもじゃないが、びっくりしてしまい… 心あらずだった。
それなのに、その騎士が、突然こう言ったのだ。
「あなたを聖ヤコブ様のところへお連れします」って…
でも、お連れしますって、言われてもねえ…
ハイッ、なんて簡単に返事できないよね。そうだろう〃
そこでね、私はその騎士にたずねたのだ。
「何故なのか…
そのわけを教えていただきたいのだが… 」
すると、その騎士は答えてくれたのだ-


