『あの丘の向こうに、見えているのは聖堂だ。
聖堂の中からは、黄金の光りが放たれている。
いったい、どこなんだ〃』
わからない、今自分がいる場所がわからないのだ。
その時、圭介は人の気配を感じて振り返った…
「アッ、お父さん〃
どうして、ここにいるの」
圭介の父親が、巡礼者の姿をして立っていた。
その父親の胸には、ペンダントが下げられていた。
帆立て貝だ…
そして、手には杖を持ち、腰には瓢箪の水筒が下げられていた。
-圭介〃
驚いたかい…決して怖がらないでおくれ。
幽霊じゃないからね。
この姿には、びっくりしただろうがね-
「怖くないですよ。
でも、僕にはよく理解できません〃」
-そりゃ、そうだろうとも、圭介でなくても驚くさ〃
私は、この世を去ってからは、この姿になって巡礼しているのだ。
つまり、ここから見えているあの聖堂を目指して、
巡礼路を歩いてきたのだよ。
やっと…この丘にたどり着いたのだ。
ここからは、あまり遠くないのだよ、あの聖堂は… -
圭介の父親は、淡々とした口調で語りかけていた。
しかし、圭介のほうはというと、さっぱりわからないから、
あっけに取られた表情で、 立ちつくしている。
「お父さんが、何故…
巡礼者にならないといけないのですか。
それに、いったいここは、 どこなのでしょうか… 」
-圭介、 ここは歓喜の丘というのだが、巡礼路の途中なのだ。
巡礼者の誰もが、この丘から、あの聖堂の塔を目にして、身を震わせるのだよ-
父親は淡々と語り続けた。


