圭介は、自分がまるっきり童話の世界にでもはまり…
不思議の国のアリスという世界を経験しているのか、
それとも、これが、例の… あの世と、この世の狭間の出来事なのか…
考えても、自分には納得できそうもなく、
今まで以上に、頭の中が混乱していた。
病室の窓からは、星空が見えている。
いつもなら、白いカ-テンを閉めているのだが、
誰かが、閉め忘れたのか…
おかげで、圭介は久し振りに夜空の星々を仰ぎ見ることができた。
その満天の星の中に、特別に光り輝いている星がいる。
色は、少し赤みがかっているのだが、何故か圭介は、 その星に魅入られていた。
よく見ると、その赤い部分が、時々光りを放っている。
電光石火とまではいかないが、それに近い形だ。
不思議に思い、圭介は自分の枕元に置いていた手鏡を手に取った。
その赤い光りに向かって、鏡をかざそうというのだ。
幼稚な発想ではあるが…
今の自分に自由に動かせるのは、右手首から先…
少し、冒険が過ぎるのではと躊躇したのだが、
今仰ぎ見ている、赤い光りに向かって構えた。
ちょうど、真ん中に当っているような感覚だったから、鏡を左右に揺らしてみた。
つまり………SOSを、
求めているように………


