「鳩さんごめんなさい!
呼んだりして…
実は、そのことじゃないのです。 僕の頭の中には…
あの醜い姿の妻の啓子が、 居座っているんです。
だから、どうしようもなくて、その姿を消し去りたいと思ったのですが。
自分では、どうすることもできなくて、
それで、鳩さんに助けてもらいたいと…
ほんとうに、どうしようもない僕ですよね。
情けないですが〃」
-圭介、あなたはそんな弱い男じゃないですよ。
遠い昔はね…
それは頼もしい男だった。
竪琴を手に持ち、激しい波に打たれて、
今にも、沈むかと思うような船に乗り、
なのに…竪琴を弾くことも、歌を唄うこともやめないで…
船に乗っている騎士たちを、励まし続けていたのが…
圭介なのですよ〃
だから、ほんとうはそんな女のことなんか…
怖くないはずなのです。忘れてしまいなさいとは…
言いませんが、
少なくとも、負けてはいないのですから、
それに、あの時の決着は、ついているはずなのですから…
それなのに、又思いだしたら、あの女の思うつぼですよ〃-
鳩は、圭介にはっきり言い切っていた。
やはり、退治したのだと再確認した。


