母親の啓子は、朝子に猛烈なパンチをくらわすつもりだ。
「あなたはね、何も知らないから、そう思うのよ〃
もちろん、今は言うつもりはないわ!
私はね、あの人のいるところに近付きたくないの〃
そんなわけでね、あなたに託したいのよ」
母親の啓子の顔が、だんだん上気していくのがわかった。
赤くなり、それと同時に…こめかみの青筋が、よけいに膨れている。
何という形相だ…
朝子が知る限りでは、妖怪マンガに出て来る、妖怪にそっくりだった。
もうこれ以上は、刺激しないほうが良さそうだ。
いつぞやの母の啓子の姿……
父のネクタイを、ぷっつり切った時のことを、思いだしたからだ。
-わかったわ!
じゃあ、私がお使いしてあげるから〃
お母さんは、家にいてちょうだい…病院に着いたら電話するわ-
朝子の言葉を聞いて、納得したのか…
啓子のこめかみの青筋は細くなっていた。


