その叔父の姿を見た圭介はあっけに取られている。
普段の叔父を知っているだけに…とても信じられない行動だった。
『叔父さんは、僕のために明るく振る舞ってはいるが、
ほんとうのところは、とても困難だとわかっているのだ。
妻の啓子のことは、よく知っているはずだ。
あの、したたかな女を相手に、離婚話をするのだから、 よほどの覚悟がいるはずだ〃』
娘の朝子が、妻から頼まれて離婚届の用紙を持ってきたことを、
圭介は、まだ知らない。
朝子は、祖母の早苗に黙っているようにと、言われていたからだ。
朝子は、両親の離婚に関わるのは、とても嫌なことだったが…
啓子が承知しなかったからである。
その時のいきさつはこうだ。
-お母さん、自分で持っていきなさいよ!
何で、私がこれを渡す役目なの、それに、お父さんが死んじゃったとしたら…
渡さないでって!
とても、変よね…
それに、その考え方はとても怖いわ〃-
朝子は、俄然抵抗したのだが、母の啓子はがんとして受け付けなかった。


