その会社の持っている-
鑑札を売ってしまい、


会社を終わらせれば、簡単なのだが、多くの社員達の生活があるのだ。


むげなことはできまい。


それに、ここまで会社が、 続いてこれたのも-


この社員の人達の協力が、 あったからだと思う。


その上、圭介にとっては、 その人達は、昔から知っている懐かしい人ばかりだ。

なおのこと不憫で、薄情なことはできなかった。


それでも、長年勤めた会社を、定年を待たずに辞める というのは-


自分自身も惜しいような 気がしたが、


子供達も大学生になっていたから、別にこれといった心配も無かったこともあり、


圭介の父親が亡くなった日、心の底ではもう決心していたのだった。