ノクタ-ン ♪ プリ-ズ・Love



夫は早苗から、目をそらさない、とても真剣だった。


-その時、聖ヤコブ様は… この私に、こうおっしゃったのだ。


「そなたの息子が、今まさに冥界へと向かっているが、

この度は、悪しきものによりて図られしこと…


いまから、急いで息子のもとに行き助けてやりなさい」…


圭介のことは、天から見ていたのだが、助けてやりたくても、できなかった。


神の命令が下されなければ、私は手出し出来ないのだ。

黙って見ていて、心配ばかりしていたんだよ-



「そんな偉い方の命令でいらしたの。


それに、あなたの胸に見えている貝殻、それは何なの〃」



-これは帆立て貝なのだが、聖ヤコブ様の元…


聖地へと向かう巡礼者が、 下げる通行証なのだ。


その昔、聖ヤコブ様の亡骸が海辺に漂着したことに由来する。


巡礼者のシンボルとして、私も首から吊り下げている-


「ほんとうですね。
あなたの首から吊り下がっていますね」


-そして、この手に持っているのは、もう一つの帆立て貝だ。


これを圭介の首にかけてやりなさい。


きっと、導かれて蘇るだろう。銀河への道が見えて、

帰って来ることが出来るだろう-



「ほんとうなの、あなた〃 圭介を神さまは帰して下さると、おっしゃったのね。

ありがたいことですわ。
神様にも、あなたにも感謝申し上げます」


早苗は心から感謝した。半分は諦めていたからだ。


早く息子の首に、この帆立て貝をかけてやらなければ

あせりだしたが、夫の言う話はまだまだ終わりそうにない…