早苗にとっては、青天の霹靂だ。訳が分からない…
日本に生まれた人間が死んでから、スペインにいる。
果てしなく遠い国だ。
そんなことが、あるとしたら………
「ではどうして、あなたはクリスチャンなの〃
私たちは、日本にいて…
阿弥陀さまを拝んでいたじゃありませんか〃」
そう言ったものの、早苗は頭がおかしくなりそうだ。
キリスト教のことなど、考えたこともなかったのに…
ついさっきには、息子の命乞いを祈るために、
マリア、キリストまでにも祈ってしまった。
そのことと、何か関係があるのだろうか。
再び、夫の声が響いていた。
-その聖者は、キリスト十二使徒の一人。
その昔殉教したヤコブ様の亡骸を乗せた船が、ガルシアの海岸に流れ着いた。
その時埋葬された墓があったのだが、
輝く星の光りにより、その墓を発見した聖者がいた。
それが天の川の銀河の星だ。その後に、このガルシアは聖地となったのだが、
どうやら、僕はその時もお仕えしていたという………
そして、イスラムと戦っていたらしいのだ。
私たちは、戦っていて苦戦におちいると、ヤコブ様を呼んだ。
白馬に乗る騎士姿のヤコブ様が、天から降臨して助けてくれると願ってね。
聖ヤコブ様は、聖戦の守護聖人だからね-
早苗はあっけに取られている。夫の言うことが本当だとすれば…
いったい、自分は今、どこに身を置いているのだろうと…考えざるがおえない。
しかし、そんな早苗を無視したように夫は、さらに話を続けた。


