圭介は四国の香川県、 高松の港町に生まれ育った。


父親は、その高松で小さな海運業を営んでいたのだが、

その父が三か月前に亡くなり、圭介が父の会社の跡を 継ぐことになったのである。


しかし、このことが妻との間に距離を造る原因となった。


圭介の父親が残した会社は、あまり大きくはないが-

父が、その会社の三代目であったことからして、


ここに至るまで……
手堅く経営をしてきたのであろう。


圭介は故郷に帰り、その会社を引き継ぐのだ。


それに、その会社の社員の大半は、地元の人間である。


その人達を、路頭に迷わせることのないように-


しなくてはならない-
という責任感も大いにあった。