船は思い切り揺れたが、結城は死に物狂いになり、
竪琴はさらに大きな音を奏でていく…そして歌う…
「ここは魔女のいる海辺…
この女どもはここに来る人間を、魔法にかけてしまうのだ。
もしも知らずに、ここに来て、この女どもの魅しの声をひとたび耳にしたら、
もう、その人間は家にも帰れず、妻とも可愛い子供たちにも会えません…
そして、魔女が呼び込んだ人間が、座り込んだところには黴が生え…
一面腐っていくのです。
そして、人間の骨がうず高くつもるのだ。
それゆえ、その地は駆けて行け、わき目も振らずに… 駆け抜けろ〃
みんなの耳には蜜蝋を塗り込めておくのだ。
そして声は聞かないようにして…
しかし、もし自分だけが聞きたいのなら、
速く進める船に乗り、手足をしっかり帆柱に縛りつけるのだ」
その歌声は、あたりの海面を震わせている。
そして、魅しい女神たちの 姿は無間地獄の棲みかへと引きずり下ろされていた。


