結城が睨んだところで、こたえるような気配も無い…
それどころか…しつこく何やら文句を並べていた。
-あなたに、今さら何を言っても、
もうすでに遅過ぎることばかり。
私は、はるか昔にはある女神に仕えていた。
ゼウスの神とデメテル女神との間に生まれた娘、
ペルセポネという女神に仕えていた。
この女神が冥界の王ハデスによって、さらわれた時に、
娘ペルセポネが連れ去られるのを、防げなかったことに、
怒り狂った母神デメテルが、私をこんな姿にしたのだ-
「だからといって、僕のせいじゃないよ!
どうしていいのかわからない… 」
-あなたはね、かって私の魔の手から逃れた、一人だからなのよ。
アルゴナウテスという英雄たちの集団にいたあなた。
その時、あなたは竪琴を弾くオルペウスという楽人だった。
死んだ妻のエウリュディケ-を愛するがあまり、冥界へ行くとき…
冥界の番人の総ての者たちを魅了した。父神アポロンから貰った竪琴を弾いて…
妻の甦りを約束した冥界の王は、地上に着くまでは、
決して後ろを振り向かないことが、条件だと言ったのだが、
あなた、つまりオルペウスは不安からは逃げられず、
地上に着く寸前に、振り返ってしまい、妻を取り戻すことはできなかったのだが、
あなたは、無事に現世に帰って行った。
そんな、あなたは船に乗り、いつも竪琴を弾いて…
私たちセイレ-ネスの魔の手から守った、私たちには手ごわい存在だったのよ -
そのことは、あまりにも現実から、離れ過ぎではないのか…いったいいつのこと。
妻に似た女は、まだ話を続けるつもりらしい…


