今、結城は妻の顔と声にそっくりな女を目にしている。
その姿は、まさに怪物という他はない…
「おまえは、妻の啓子じゃない!
いったい誰なのだ〃 」
-私は、あなたの妻の啓子よ〃間違ないわ。
私は夢の中にいる時は、この姿になれるの!-
「そんな姿の君とは、話をすることはできない」
-そう、それならこのまま、この子を家に帰れなくしてもいいのね-
「それだけは絶対に許さない。
僕を連れて行くがいい〃」
-その言葉を聞いて、ますます腹わたが、煮え繰りかえる思いがするわ〃
私だって、こんな姿になりたくてなったんじゃない。
あなたが、あまりにも私をないがしろにしたものだから、
こんなふうに、なってしまったのよ!
今さら…言ってもしかたがないこと〃-
「じゃあ、どうして僕といっしょに、イタリアへ行ってくれなかったのだ。
君が来るのを、飛行機に乗り込む直前まで待っていたんだ。
文句はこちらにもあるさ」
結城は妻の啓子を睨むように言った。


