結城の妻が、すごい形相をして、仁王だちしていた。
結城が息子の碧を助けようとしても、自分の足が動かないのだ。
-あなたが駄目なら、
この子を連れて行くわ!-
「駄目だ!
それだけは、駄目だあ」
-よくも、しゃあしゃあ~と言えたものねぇ!
私の知らないところで、 こんな子供を作っていたなんて…あきれたものだわ-
「そのことは、謝るよ。
許してくれ… 」
-いいえ、許さないわ!
こんなこと許せるわけがないでしょ〃-
「おまえは…悪魔なのか〃」
-いいえ、私は悪魔じゃないわ。セイレ-ネスという、ニンフよ〃
冥界へ死者を送る役目をしているのよ。 失敗は許されないの〃-
『たしか、その女神は海にいるはずだ。
小絵に聞いたことがある』
はるか昔の人々は、海を恐れていた。海には魔物がいると信じていたからだ。
特に船に乗り、旅をする者にとっては、出会いたくない存在だろう…
地中海の西にいて、海上や海峡の岸から、
男たちを引き寄せて…
食べてしまうと言われていた。
その時は、美しい歌声で誘い込むという怪物で、
上半身は女で、下半身は鳥の姿であるという…


