小絵はやがて目覚めた…
信じられない想いで、しばらくじっとして、天井を見ていた。
すると、海の向こうからヨットのエンジンの音が近付いていた。
結城がここへこようとしているのだ。
小絵は、慌ててテラスの月桂樹の若枝を取りに行った。
そして、その枝をベッドの下にしのばせた。
『これでいいのよね! 』 そんな想いで結城を待つ…
そのうち、階段をかけあがる音がしていた。
いよいよ、結城がやって来る………
小絵は入口の扉を閉めて… ピアノの前に座っていた。
やがて…
小絵の白い指は、ノクタ-ンを奏でていた。
タタ-ン、タタタ-ン…… タ-ン♪♪♪♪♪
小絵の目に涙が滲んでいる。結城を愛しているからだ…変わらない愛をこめて…
『あなた、私達に会いに来て下さってありがとう♪
そんなに苦しいのに、もう無理はしないで…
もう元気な、あなたになって下さい。
いいえ、私がきっと…
元どうりの元気にしてみせるわ。
私は必ずこの世で待ち続けるわ。もう一度会うことが叶うまで…
だから、きっと帰ってきて、あなたお願い…
凍りついたあなたを私が、暖めめて溶かしてあげるから…
きっと、帰ってきて…
お願い♪ 』
結城は小絵を背後から抱き締めて離さない。
でも、小絵はピアノを弾くのを止めないでいる。
結城は小絵をさらに…
きつく抱き締めていた。


