『もうすぐだわ♪
結城がやってくるのは…
だったら、ス-プを温め直さないと、小絵早くしないと駄目よ…』
誰かに急き立てられるように、小絵はエプロンをつけ台所にたった。
結城がやって来ても、食べるかどうかは、わからないのだが、
いつものように、テ-ブルには食器を並べ、ナイフやフォークをセッティングした。
それが終わると、小絵はエプロンを外し…
いつものように、ピアノに向かっていた。
そして、小絵はピアノを弾き始めた。例の曲だ…
ショパンのノクタ-ンを弾いていた。
この曲の意味…それは、
夜想曲という意味である。
結城を想い…今宵の海を想い、愛することを想い…
小絵は弾き続けている。
その夜の海の向こうから、波を蹴る船のエンジンの音が近付いて来る。
その音は、このテラスの下にある桟橋で、ピタッと…
止まった。
『結城だわ♪
やっと会えるのね…
もう幾日も会っていないわ』
階段を駆け上がる足音がしている。
『もうすぐ会えるのね♪』 そう想うと…
さらに、小絵の指がしなやかさを増して、鍵盤の上を踊りだしていた♪


