料理を作る女の気持…
彼のため、夫のため、子供のため、
時には義理の舅たちのためにだとすると…
中でも力を入れてやるのは、恋人の彼のためだろう。
胃袋で、彼のハ-トを掴むのだ…
小絵も今…そんな気持になっている。
いくら肉体が結ばれたという間柄であっても、
時間がたてば、激しさも 衰えてしまう…
海の波に例えたら、激しく寄せくる怒濤から、
つぎには、サ-フィンができそうな、うねりの高い波、
時折海を行き交う船が巻起こす波、
そして、湾岸に打ち寄せる静かな波… のあとには、
ついには、べた凪ぎという、動きもしない海面にしてしまう………
そうなってからは、二人でお茶を飲んでいても…
勝手がってに、することがバラバラとなる。
もちろん、これは全てにおいて共通するから、
ベッドの上の二人の姿が想像できてしまう…
今、小絵の場合は… …… 静かな波…時おりは、
激しい波もやってくる…
でも、これからはもう…
お休み、
べた凪ぎというところだろう…
小絵のお腹の膨らみが目立ってきたからだ。
結城は、小絵に会いに来ると、もっぱらお腹の子供に話し掛ける。
もうパパになったつもりらしい…
「早く、出ておいで…
僕がパパだよ♪
君は元気にしているかい」
こんな具合だから、小絵は見ていられない。
それくらい優しい顔を…
結城は見せるからだ。
そんな結城を見ている時には、小絵は自分の父親を見いだしていた。


