小絵は、今夜は結城のためにイタリア料理を作ることにした。
パスタ料理は生地から作る。粉を練り込んで作った生地に…
リコッタチ-ズと冷凍していたホウレン草を刻み、
生地に挟むように包むとーまわりをくっつけてから、
ハサミで切り込みをいれ…茹でると、それはラヴィオリだ。
それに…きのこのフリット、牛肉のカツレツ…ブ-リア風。
ブ-リア風なんて、おおげさ過ぎ、ビフカツにトマトソ-スをからめただけ…
後は作り置きのもの…
その一品のシ-フ-ドマリネは、いつも冷蔵庫に鎮座している優れものだ。
これらの料理に、ワインをテ-ブルに乗せたら、
ちょっとしたレストランの料理のように見える…
小絵は結城の喜ぶ顔が見たくて料理に腕をふるうのだが、
自分一人の時は、何も作る気がしない。
世の主婦たちも、どうやらそのようだと聞く…
自分のためには、料理はしないというのだ。
女は誰かのためにと…
美味しい料理を作るものだとわかってきた。
しかし、そんな女ごころとは…いかがなものか…
小絵は考えてみた。


