今朝は、いつもより余計に心が弾んでいる。
そのせいか…
歌声も、高らかに透き通るように響いていた。
小絵が、弾んだのには訳がある。
今夜は、結城がこの別荘にやってくるからだ。
このところ…
小絵は東京に行くことが多くて、結城とは一週間も会っていない。
会うのが待遠しくてたまらない…小絵は少し膨らんだお腹をそっと押さえた。
小絵の頭に、今夜の料理が浮かんだものの…
材料が揃っていない、結城が毎日のようにきてくれた時には、
来る度に食料を届けてくれたから、不自由ではなかったのだが…
この島には、食料を買うことができるような店は一軒も無くて、
ただ近隣の漁師から、魚などを直接わけてもらうか、
町の個人商店などに、電話で注文して、
宅急便で届けて貰うしかないから、やはり島は大変だ。
しかし、結城が来たときには、山のように食料が届く。小絵は即座にそれらを冷凍する。
そんなわけで、この別荘にはとてつもない、大きな冷凍庫が備わっている。
今夜は、結城が今までに運んでくれた山のような食料の残りの中から…
材料を選び、料理をすることにした。


