結城が、この島に住む小絵のもとに通って来るようになって、結城の人生は変わってしまった。
もちろん、妻とは離婚はしていないのだが…
もう、妻の存在すら忘れていた。
それだけ、小絵を愛してしまっているのだ。
それに、あと半年もすれば小絵の子供が生まれるのだ。
小絵は、このままでいいと言っているのだが…
しかし、そうもいくまい… 生まれた子供の戸籍の問題も生じるだろう。
そのことが、子供に不憫だ。どうにかしなければ…
結城の新しい家族として配慮しなければいけないと思うばかりだ。
小絵は、子供のことは楽観的である。
自分も母親だけの子供として生きてきたからだ。
そんなことより、仕事に燃えている…
いずれは、ジュエリーデザイナーとして、自立したいからだ。
現在は、指輪などのアクセサリーを造り、インターネットで販売しているが…
イタリアに留学していたのが、功をそうして売れている。
しかし、小絵には子育てが待っているから…
いずれは、本格的にやりたいが、今はこれ以上は無理である。
そんな小絵のお腹には、
スクスクと育っている…
愛する人の命がある。


