小絵たちが乗るヨットが、 海を行き交う船の巻起こす白波に…
激しく揺れることもあったが、追い風がやって来て、
思いもかけぬほど、早く島に到着していた。
小絵の目の前には…
結城が選んだという島が見えている。
その島は白っぽくて、小さな島…カプリ島に比べたら。
そして、カプリ島のように海に面しての絶壁はないのだが、
島に岩の段が何段もあり、その一番低い岩のところから、
岩にへばり付くようにして、白亜の三階建ての家が見えている。
その家の向かうには、少し高い山が見えていて、
所々に濃い緑が繁っているのはミカン畑だ。
この島も、カプリ島のようにオレンジの木が植えられている。
そして、淡い緑の繁みは、オリ-ブの木だ。
やはり、カプリの島に良く似た島だった。
島のあちこちに、
建てられている家は、
カラフルなブル-やピンク、グリーン、イエロ-などの屋根に彩れている。
イタリアのポジタ-ノに少し似ていた。
しかし、海の色はさすがに…紺碧のカプリ海のようにはいかなくて…
エメラルドグリーンの色をしていた。
でも、透明な美しい海だ。 日本にも、こんなに美しい海があったのだ…
小絵は心から嬉しいと思った。
いよいよ、小絵の目の前に白亜の建物が迫ってきたのであるが…
小絵は胸が踊りだすのではと、気が気ではなかった。


