そのヨットハ-バ-は、瀬戸内の海の風が呼吸している…
それに…少しショッパイ
匂いがする海辺だ。
北に六甲の山を背負い、南には海を抱くという…
自然の素晴らしいところにあった。
だから、海の上の風景は何度も、その表情を変えていた。
それだけで、ヨットを… セ-リングさせなくても、
じゅうぶん楽しいものだ。
結城のヨットは、ベルギー製である。俗にクル-ザ- という代物…
ヨットの中には、
キャビンに向かう途中にあるギャレ-に、生活に必要な設備が全て揃えてあり、
ステンレスのダブルシンクやLPGコンロ、
冷蔵庫などが、機能的にレイアウトされていた。
それに、トイレ、シャワール-ムもコンパクトにまとめられている。
一番奥には、オ-ナ-ズ・アフトキャビンがあり、
天井が高く、その上広々とした部屋だ。
その部屋には、心地良さそうなダブルベッドが置かれている。
これなら、へたなホテルよりはずっといい………
小絵はヨットの中を隅々まで見て回ったが、あまりの光景に圧倒されて…
デッキへ出て、思い切り海の風を吸い込んだ。


