毎日のように電話で話していたから、結城に再会したのだが…
結城との距離感は無かった。イタリアと日本とに別れて住んでいたことが嘘のようだ。
会話は、ごく自然に聞こえていた。
-ただいま♪
迎えに来て下さってありがとう。
心配しないで、疲れていないから… -
二人は…そっと手を握りあっていた。
二人の気持は、ほんとうのところは…
日本でなければ、抱き締めあい、キスをしたいところだ…
でも、ここはイタリアじゃないから…日本流でいくしかない。
小絵も結城も、互いに握りあっていた手をしばらくは離さなかった。
そのうち、どちらともなく握りあっていた手がほどけて、
結城が小絵の肩を両手で引き寄せて…
「小絵…カプリ島と瓜二つとはいかないが、
良く似た島が見つかったんだよ ♪…」
結城は、小絵の耳元に小声でそう言った。
-ほんとうに、カプリ島に似ている島があったのね♪
貴方…ほんとうよね-
小絵は結城に何度も確かめていた。
「ほんとうに、あったんだよ。瀬戸内の海辺にね… 」
-せとうちの海辺に…
あったんだわ。
ほんとうにありがとう ♪-
この日本のどこかに…
カプリ島に良く似た島があると…
結城は小絵に言い切っていたから、ほんとうだろう。
小絵には、想像もつかない、瀬戸内の海も知らないからだ。
-あなた、もっと聞かせて、島のことを… -
小絵は結城に迫っていた。


