しかし、このことを小絵の母が知ったら…
きっと、驚きのあまり気絶するだろう。
その理由は…
小絵の母の場合も、同じだからだ。
母一人、子一人の生活を送ってきた母と小絵…
小絵の母は、言葉に言い尽くせないほどの苦労があったからだ。
そんな母の二の舞のような生き方をしようとする小絵に、賛成するはずがない。
その上、婚姻外の非嫡子という戸籍上の烙印…
つまり、愛人の子である。 小絵は嬉しくて有頂天だが、
実際のところ冷静になれば、小絵自身もはたして…
事実をどう受止めるやら… わからない。
今のところは、白紙である。この後だんだんと大きくなっていく、自分のお腹が…
臨月を迎えせり出すさまを経験するころには、
小絵の考えは変わってしまうのだろか…
今の小絵には、『帰国 』 という、二文字だけが頭にあり、他のことは考えられない…
だから、ここ数日は荷物の整理にやっきになっていた。
ところで…
元彼のルカはどうなったのだろう…って。
別れたと言うより、別れて貰ったという方が正しいのかもしれない…
もちろん、カプリ島から戻ってからは、一度も小絵の部屋へは…入れなかった。


