結城が帰国したら、またいつもの生活が始まっていた。
小絵の生活の中で変わったことといったら…
毎日のように、結城からの電話があるということでしょうか…
その電話の度に、二人は愛を語らい…互いに愛を確かめ、そして眠りにつく…
眠れば、小絵は毎夜カプリ島で結城に抱かれたことを想い出し…
夢の中に、結城を探していた…見つけたら、
小絵は愛してもらいたくて…結城の腕の中に入っていた。
しかし、
昼間の小絵は、そんなことを想う暇はなかった。
卒業間近の追い込み真っ最中…
コンクールの作品造りに没頭していた。
「海の星」と名付けた作品は腕輪。
小絵の想いが込められた、 その作品には無数のラピスラズリの小粒が並ぶ…
最初は葡萄を模して造る予定だったが、結城を愛してしまった小絵は…
ラピスの色は、カプリの海、紺碧色と似ていたから…
ラピスラズリを海に例えた。その中に小さな金細工の星を埋め込んだ。
つまり…海は結城であり、 小さな金細工の星は小絵だ。
ラピスラズリの海に小絵が埋められている。
小絵の愛の記憶の形…
結城との形を表していた。
その作品の完成も間近に迫っていたが、それとは別に小絵の身には何かあるだろうと…予感がした。


