♪小絵夢じゃなくて、 ほんとうよ…
だって、このカプリ島で、会えたでしょ~
幸せになってね、小絵♪
いつか見た夢の中で出会った、ニンフの声にそっくりだった…
小絵のまわりをレモンの香りが漂っている。
小さな声だった…
-ありがとう♪
レモンの木のニンフさん。 忘れないわ、あなたを♪-
小絵は再び結城の胸に…
そんな小絵に驚きながらも…結城は抱き締めていた。
カプリ島の夜明けが、
紺碧のティレニア海を…
さくら色に染めるまで愛し合った二人…
夜が明け、朝のレモン色の光りに目覚めた二人…
カプリ島の最後の日…
愛の記憶をきざんでいた…
「僕は君を忘れない…
この僕の身体が、君の全てを覚えているから… 」
-私も忘れないわ…
いつも、あなたを思い出して…
あなたがそばに居なくても、抱き締められるわ♪-
「小絵、君はほんとうに…可愛い人だ。愛してる♪」
-あなただって、ほんとうに素敵な人だわ♪
小絵は幸せな女よ…
こんな貴方を授けてくれたのは… 不思議だわ -
結城は一瞬、声を出して…小絵の疑問に答えそうになっていた。
『小絵♪…それはニンフなのだよ。
このカプリ島のレモンの木の妖精…
君に寄り添って、僕たちをここまで連れてきてくれたのだよ…』
とは、言えなくて…
運命の女神が、こうして会わせてくれたんだと…
結城は言った。
その日の夜…
結城はロ-マ空港から日本へと帰ってしまった。


